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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻13号

1999年12月発行

今月の主題 大腸腫瘍の内視鏡診断は病理診断にどこまで近づくか

主題

大腸拡大内視鏡診断はどこまで病理診断に近づいたか―大腸上皮性腫瘍を対象として

著者: 藤井隆広1 永田和弘1 斉藤豊1 神津隆弘1 藤城光弘1 後藤田卓志1 小野裕之1 近藤仁1 加藤茂治2 佐野寧2 吉田茂昭2

所属機関: 1国立がんセンター中央病院内視鏡部消化器科 2国立がんセンター東病院内視鏡部消化器科

ページ範囲:P.1653 - P.1664

文献概要

要旨 拡大電子スコープの腺口形態診断(工藤分類)と病理組織診断の対応性から,腺口形態Ⅰ・Ⅱ型は非腫瘍(85%;159/187病変),ⅢL・ⅢS・Ⅳ型が腺腫または粘膜内癌(93%;4,339/4,673病変),Ⅴ型pitを認めればsm以深癌(98%;512/525病変)と診断可能であり,臨床的にはこのような3群分類(非腫瘍,粘膜内腫瘍,浸潤性腫瘍)が簡便かつ有意義であろうと結論された.なお,腺口形態診断によるsm癌診断の限界を測る目的でdesmoplastic reaction(DR)について検討したところ,sm癌393病変のうち組織学的に癌表面のDRを認めない粘膜残存病変の頻度は,隆起型29%(57/196)=表面隆起型29%(7/24)>陥凹型15%(11/73)であり,陥凹を伴わない病変に対する深達度診断の困難性がうかがえた.一方,serrated adenomaの通常内視鏡的特徴像は,松毬様絨毛状所見であるが,拡大観察による絨毛の鋸歯状所見(ⅣH型pit)が確認できれば,より確実な診断が得られると結論された.筆者らは,各疾患における病理組織学的な特徴像を病変の表面構造上にパターン化し,それを通常観察と腺口形態診断の両面から詳細に観察することで,更に病理診断に近づいた内視鏡診断の展開が十分可能であると考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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