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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻13号

1999年12月発行

文献概要

今月の主題 大腸腫瘍の内視鏡診断は病理診断にどこまで近づくか 主題

拡大電子内視鏡による大腸腫瘍の診断は真に有用か―ビデオを使用した検討

著者: 三戸岡英樹1 白川勝朗1 入江一彦1 柏木亮一2 西谷和夫2 田畑文平2 藤盛孝博3

所属機関: 1神戸海星病院消化器病センター 2田畑胃腸病院 3獨協医科大学第2病理

ページ範囲:P.1665 - P.1673

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要旨 大腸腫瘍の診断について拡大観察が通常観察に比し有用かどうかビデオを使用した方法で検討した.拡大内視鏡使用経験のある内視鏡医6名(初心群:3名,経験群:3名)に,ビデオに編集した20病変の大腸腫瘍(sm1までの内視鏡治療適応群10例,sm2以深の内視鏡治療非適応群10例)を各病変について通常観察,インジゴカルミン撒布後の拡大観察の順に見てもらい,診断に関する質問に回答を得た後検討を行った.pit pattern読影可能率(平均)は通常観察15%,拡大観察90%であり,通常観察でもpit pattern読影可能な例が存在した.また拡大観察におけるpit pattern読影可能率および正診率は初心群では各々80%,65%,経験群では98%,81%であり経験群が有意に高かった.腺腫・癌の質的診断については通常観察,拡大観察で差は認められなかった.深達度診断については全20病変の深達度正診率(平均)は通常観察67%,拡大観察86%であり有意に拡大観察の正診率が高かった.pit pattern読影は主観的診断であり,個人差があり,その読み取りには経験が必要であると考えられた.インジゴカルミン撒布後の拡大観察は腺腫・癌の質的診断については,通常観察に比し有用であるとの結論は得られなかったが,深達度診断については通常観察に比し,特に深部浸潤癌で有用であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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