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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻2号

1999年02月発行

文献概要

今月の主題 Barrett上皮と食道腺癌 主題

Barrett上皮ならびにBarrett腺癌の組織学的・粘液および免疫組織化学的検討

著者: 田嶋勇介12 下田忠和1 中西幸浩3 池上雅博4 草野満夫2

所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部病理 2昭和大学医学部第2外科学教室 3国立がんセンター研究所病理 4東京慈恵会医科大学病理学教室

ページ範囲:P.141 - P.153

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要旨 外科的切除で得られたBarrett腺癌13症例14病変を含むBarrett食道22症例を用いて組織形態学的・粘液および免疫組織化学的にBarrett上皮ならびに腺癌の検討を行った.Barrett分化型腺癌を細胞異型・構造異型の点から高異型度と低異型度に分類したところ,主として早期の病変において,6病変に高異型度癌と混在した低異型度癌の成分が含まれていた.Barrett食道を構成する非癌上皮は種々の程度で胃型・腸型の組織形態・粘液形質発現を示しており,Barrett上皮が長くなるほど腸型の粘液形質を有する杯細胞の比率が有意に増加していた.しかし胃型形質を保持した上皮も保たれ,吸収上皮細胞への分化がさほど進まないことが特徴であった.Barrett腺癌の粘液形質は粘膜内では胃型優勢の胃腸混合型で,浸潤部では腸型優勢となっていた.Ki-67・p53蛋白についての免疫組織学的検討では異型度の高い上皮ほど増殖帯は粘膜深層から表層に分布し,Ki-67・p53蛋白染色陽性細胞のlabeling indexが高値となっていた.以上の結果から,Barrett腺癌の組織診断においては浸潤の有無ではなく,細胞異型・構造異型の点で評価することが重要と思われた.またBarrett腺癌は胃型の形質を有する上皮から発生し,進行とともに腸型への形質変化が起こると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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