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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻2号

1999年02月発行

文献概要

今月の主題 Barrett上皮と食道腺癌 主題症例

長径10mm未満のBarrett上皮に発生した早期食道腺癌の1例

著者: 藤澤貴史1 前田光雄1 西上隆之2 萩野晴彦1 阪本哲一1 前田哲男1 大西裕1 三田正樹1 大須賀達也1 井上英士3

所属機関: 1石川島播磨重工業健康保険組合播磨病院内科 2兵庫医科大学第2病理 3井上内科

ページ範囲:P.207 - P.214

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要旨 患者は65歳,男性.心窩部痛を訴えて近医を受診,消化管透視で下部食道に腫瘍を認めた.精密食道透視で下部食道右側壁に不整な陥凹を伴う隆起性病変を認め,弧状の側面変形を認めた.内視鏡検査では腫瘍は発赤調の中心陥凹を伴う隆起性病変で,辺縁隆起部は白色調の重層扁平上皮で覆われ,粘膜下腫瘍様の形態を示していた.食道裂孔ヘルニアを伴い,狭い範囲のBarrett上皮を認めた.以上から,0-Ⅰsep型のBarrett食道癌,深達度はsm3と診断し,下部食道切除術を施行した.病理組織学的には0-Ⅰsep,sm3,tub1+2,ly0,v0,n0,17×16mmの早期Barrett食道癌で,Barrett上皮は最長でも7mmの狭い範囲にしか認めなかった.自験例はBarrett上皮が10mm以下でも腺癌が発生しうることを示した貴重な症例と考えられた.早期Barrett食道癌のわが国の報告例31例の文献的考察を加えて報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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