文献詳細
今月の主題 Barrett上皮と食道腺癌
主題症例をみて
急がれるshort segment Barrett's esophagusの疾患概念の確立―主題症例をみて
著者: 小池盛雄1
所属機関: 1東京都立駒込病院病理科
ページ範囲:P.223 - P.224
文献概要
本号では主題症例としてBarrett食道に合併した表在型腺癌として8例が提示された.これらを通覧して病理学的に問題となるのはBarrett食道の定義である.従来広く知られているSkinnerらの定義に従えば,その拡がりに規定があり,“本来の食道胃接合部より全周性に3cm以上口側に円柱上皮が進展している状態”とされる.この定義に従えば,有馬ら,清水らの症例が典型例ということになる.当然,3cmまでの間に種々の幅のある円柱上皮の進展のみられる症例が存在するはずで,これらがshort segment Barrett's esophagus(SSBE)ということになる.他の6例はこの範躊に入る可能性のある症例であるが,どこまでをSSBEとするかにより除外される症例も出てくる.特に全周性でなく,限局性に円柱上皮の進展した症例の扱いが問題となる.
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