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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻2号

1999年02月発行

文献概要

今月の主題 Barrett上皮と食道腺癌 主題症例をみて

急がれるshort segment Barrett's esophagusの疾患概念の確立―主題症例をみて

著者: 小池盛雄1

所属機関: 1東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.223 - P.224

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 Barrett食道には食道潰瘍や食道腺癌が発生し,特に食道腺癌のhigh risk状態として知られている.南米の内視鏡医,あるいは消化管を専門とする医師と話をすると,下部食道癌の組織型は腺癌が主体であると彼らは信じていた.それほどに逆流性食道炎,Barrett食道の頻度が高く,合併する腺癌が多いということを示しており,わずかに数例の自験例とは対照的であると驚いた記憶がある.

 本号では主題症例としてBarrett食道に合併した表在型腺癌として8例が提示された.これらを通覧して病理学的に問題となるのはBarrett食道の定義である.従来広く知られているSkinnerらの定義に従えば,その拡がりに規定があり,“本来の食道胃接合部より全周性に3cm以上口側に円柱上皮が進展している状態”とされる.この定義に従えば,有馬ら,清水らの症例が典型例ということになる.当然,3cmまでの間に種々の幅のある円柱上皮の進展のみられる症例が存在するはずで,これらがshort segment Barrett's esophagus(SSBE)ということになる.他の6例はこの範躊に入る可能性のある症例であるが,どこまでをSSBEとするかにより除外される症例も出てくる.特に全周性でなく,限局性に円柱上皮の進展した症例の扱いが問題となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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