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今月の主題 Barrett上皮と食道腺癌 主題症例をみて
Barrett上皮と食道腺癌―主題症例をみて
著者: 下田忠和1
所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部病理
ページ範囲:P.228 - P.229
文献購入ページに移動 Barrett食道癌の主題号にあたって,多数例を経験し,かつその臨床的,病理的解析が行われる施設は極めて少ないと考え,できるだけ多くの施設から主題症例として掲載していただくことを計画した.また欧米では多くの集積例の報告があるが,Barrett腺癌で日本の特色を出せるとすれば,早期癌の症例解析であると思われ,今回は早期Barrett腺癌について報告していただいた.その目的はBarrett食道腺癌の発生ならびに進展,更には初期における肉眼形態の特徴などを知ることである.
その結果,主題症例として8症例,9病変が掲載されている.Barrett食道腺癌についてはその発生ならびに進展については不明なことが多い.特に癌の発生についてはBarrett上皮の異形成(dysplasia)との関係が欧米では議論されている.早期の病変を解析することによりdysplasia-carcinoma sequenceが証明可能であるか否かに関してである.この点については,既に読者も承知のごとく,生検で経過観察された症例の解析からは,浸潤の有無が不明である以上,欧米からはdysplasia-carcinoma sequenceの考え方以外にはなされえない.また切除材料からの解析では,高度異形成は浸潤の所見を伴う頻度が高いために,生検でsevere dysplasiaと診断されるものは積極的に手術をすべきであるとされている.
その結果,主題症例として8症例,9病変が掲載されている.Barrett食道腺癌についてはその発生ならびに進展については不明なことが多い.特に癌の発生についてはBarrett上皮の異形成(dysplasia)との関係が欧米では議論されている.早期の病変を解析することによりdysplasia-carcinoma sequenceが証明可能であるか否かに関してである.この点については,既に読者も承知のごとく,生検で経過観察された症例の解析からは,浸潤の有無が不明である以上,欧米からはdysplasia-carcinoma sequenceの考え方以外にはなされえない.また切除材料からの解析では,高度異形成は浸潤の所見を伴う頻度が高いために,生検でsevere dysplasiaと診断されるものは積極的に手術をすべきであるとされている.
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