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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻4号

1999年03月発行

今月の主題 胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴

主題

胃型分化型腺癌―新しい抗体を用いた免疫染色による癌の形質判定

著者: 八尾隆史1 椛島章1 上月俊夫1 大屋正文1 恒吉正澄1

所属機関: 1九州大学医学部第2病理

ページ範囲:P.477 - P.485

文献概要

要旨 CD10による刷子縁,MUC2による杯細胞,human gastric mucin(HGM)による腺窩上皮,paradoxical concanavalin A(ConA)による幽門腺への分化を評価することで胃癌の形質分類を行い,癌の形質を分類し従来の方法と比較した.対象は通常の単発分化型腺癌の52症例と超高分化型腺癌4症例(胃型2例,腸型2例)を用いた.通常の単発高分化型腺癌の形質は,胃型12例(23%),不完全腸型33例(64%),完全腸型7例(14%)に分類された.不完全腸型のHGM陰性群は従来は単に腸型と分類されていたが,今回の検討ではこの群は背景粘膜との対比から,不完全腸型のHGM陽性性群(従来の混合型)と同様であり,これら二群は不完全腸型としてひとまとめにするほうが妥当であると考えられた.そして,超高分化型腺癌(胃型)の2例ともAB陽性で従来の判定法では腸型形質の発現と判定されることになるが,新しい判定法では,AB陽性の杯細胞様に見える細胞が多数みられる腺管もMUC2陰性でHGM陽性であるので完全胃型と判定され,H・E染色の形態とも合致した.この評価法では従来の分類と比較すると,胃癌の形質判定をより簡便かつ客観的に行うことができ,また腸上皮化生の分類に対応した胃癌の形質を評価でき背景粘膜と癌の形質がより対応すると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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