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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻4号

1999年03月発行

文献概要

今月の主題 胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴 主題

H・E染色による胃型分化型腺癌の病理学的特徴

著者: 久保起与子12 柳澤昭夫1 二宮康郎1 井下尚子1 加藤洋1

所属機関: 1(財)癌研究会癌研究所病理部 2東京都職員共済組合青山病院検査科

ページ範囲:P.487 - P.494

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要旨 深達度ss以深の進行胃癌100例について,H・E染色標本を用いて,分化型癌成分の有無を調べ,更に,分化型癌成分を細胞形態から胃型,腸型,混在型に分類した.その結果,優勢像によって胃型分化型癌としたものは6例で,ss以深の進行胃癌の6%,分化型癌27例の22.2%であった.粘膜内に分化型癌成分を有する症例は65例で,そのうち胃型の形質を示すものは14例(21.5%),胃型優位の混在型は23例(35.3%)で高率(56.8%)に胃型形質を持つものがあった.粘膜内に胃型の分化型癌成分を持つものは腸型の分化型癌成分を持つものに比し平均年齢が低く,女性に多く,胃の上部に多かった.また,浸潤部では未分化型癌が多く,この傾向は特に女性に顕著であった.粘膜内の分化型癌成分の形質から,浸潤部での組織像をある程度予測できると考える.また,組織化学的染色との関係により,H・E染色の癌細胞形態から胃型か腸型かを判断することは十分可能であると考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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