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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻4号

1999年03月発行

文献概要

今月の主題 胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴 主題

胃型分化型腺癌の判定基準と病理学的特徴

著者: 西倉健1 渡辺英伸1 味岡洋一1 橋立英樹1 岩松宏1 李堅12 柏村浩1 山下浩子1 小向慎太郎1

所属機関: 1新潟大学医学部第1病理 2黒竜江省中日友好医院

ページ範囲:P.495 - P.506

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要旨 本研究の目的は,分化型胃癌の新たな細胞形質分類基準を作成し,それに基づいて胃型形質分化型癌の病理学特徴を明らかにすることにある.分化型胃癌351例中,胃型形質癌は61例(17.4%)で,そのうち腺窩上皮型が27例(7.7%),幽門粘膜型が34例(9.7%)を占めた.胃型分化型癌は腸型分化型癌に比べて未分化型化率(混合型癌の割合)が有意に高率であった(32.3%vs7.9%,p<0.01).また,胃型分化型癌は腸型分化型癌に比べ変異E-cadherin発現率が有意に高率であった(19.4%vs2.7%,p<0.01).変異E-cadherin発現陽性の粘膜内癌10例中8例において,分化型癌腺管の増殖帯から未分化型癌部分へかけて陽性細胞の連続分布が認められた.分化型微小癌の検討では,胃型形質癌21例全例で癌組織中心部の構造は胃固有腺のみから構成されていた.低異型度胃型癌の40.0%(2/5),低異型度複合型癌の30.0%(6/20),低異型度不完全腸型癌の9.7%(3/31)にそれぞれHelicobacter pylori(H.pylori)の癌腺管への直接付着が認められた.高異型度癌では細胞形質を問わずH.pyloriの癌腺管への直接付着は認められなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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