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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻4号

1999年03月発行

今月の主題 胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴

主題

早期胃癌における胃型分化型腺癌の肉眼的特徴とその臨床治療

著者: 吉野孝之12 下田忠和1 斎藤敦3 中西幸浩3 田嶋勇介3 白須達也1 三浦総一郎2

所属機関: 1国立がんセンター中央病院臨床検査部病理 2防衛医科大学校第2内科 3国立がんセンター研究所病理部

ページ範囲:P.513 - P.525

文献概要

要旨 外科的切除された早期胃癌351例について,組織型をpureな分化型,pureな未分化型,混在型と分類し,更に粘液形質の検討から胃型形質を示す腺癌(胃型腺癌)と腸型形質を示す腺癌(腸型腺癌)の肉眼的特徴を明らかにした.胃型分化型腺癌は腸型分化型腺癌に比し,分化型に未分化な組織型を含む混在型が多く,肉眼型は陥凹型,色調は正色調,その肉眼境界は不明瞭であった.組織学的に不明瞭な腫瘍境界部では,胃型粘液形質を有する腺窩上皮に類似した低異型度分化型腺癌が粘膜の表層から中層にかけて側方進展し,明らかな段差を形成しない傾向がみられた.一方,腸型腺癌は純粋な分化型腺癌で,肉眼型が隆起型,色調が発赤調,肉眼境界が明瞭で側方進展を伴わない傾向がみられた.以上の結果から,内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection; EMR)を行う際,胃型分化型腺癌はその浸潤範囲の正確な診断が必要で,かつ生検組織診断にあたっては胃型分化型腺癌の存在を常に念頭に置く必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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