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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻4号

1999年03月発行

文献概要

今月の主題 胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴 主題症例

胃型分化型腺癌との鑑別が問題となった胃型腺腫の1例

著者: 北村成大1 浜田勉2 近藤健司2 板垣雪絵2 西田潤子2 泉嗣彦2

所属機関: 1社会保険中央総合病院病理 2社会保険中央総合病院消化器内科

ページ範囲:P.545 - P.548

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要旨 患者は45歳,女性.4年半前から胃ポリープを指摘,今回胃型腺腫の診断で内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)を施行.病変は3×2.5cm大,軽度の分葉状構造を示す隆起性腫瘤.組織学的には幽門腺に類似した立方状細胞から成る腺管の増生がみられ,腺腔は延長,屈曲が著しく嚢胞状に拡張した部分を多々伴っていた.部分的には明瞭な核小体を伴う腫大した核を認め,配列にも軽度の乱れを認めた.MIB-1抗体陽性細胞は表層でごくわずか認めただけであった.以前に施行された生検組織の再検討では今回の所見とほぼ同様であり,幽門腺型胃型腺腫と診断された.これまでの胃腺腫の組織診断基準は腸型を主体としており,分化型腺癌との鑑別が重要であった.しかしながら胃型腺腫は異型の弱いその特異な組織像により,過形成性病変から分化型胃型腺癌までの幅広い鑑別が必要であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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