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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻4号

1999年03月発行

文献概要

今月の主題 胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴 主題症例

胃型腺癌にEMRを施行した1例

著者: 小野裕之1 近藤仁1 山口肇1 後藤田卓志1 斉藤大三1 中西幸浩2 下田忠和3

所属機関: 1国立がんセンター中央病院内視鏡部 2国立がんセンター研究所病理 3国立がんセンター臨床検査部病理

ページ範囲:P.549 - P.553

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要旨 患者は75歳,女性.胃角部前壁から小彎にかけて4cm大のⅡa病変を有しており,生検で胃型の高分化型腺癌が証明された.本症例は,範囲がやや不明瞭なことと大きさを考慮して外科手術を勧めたが,拒絶されたため内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection;EMR)を施行した.断端陽性のため再EMRを施行し,肉眼的には切除しえたと考えたが経過観察内視鏡でEMR後の綴痕部から印環細胞癌が証明され,最終的に外科切除となった.切除標本の組織学的検討で,14cm大の胃型の極めて高分化型Ⅱb病変の拡がりと一部に印環細胞癌の成分の存在が確認された。胃型胃癌はしばしば粘膜表層を進展し,範囲が非常にわかりづらい場合があること,未分化型癌の混在が特徴とされており,近年広く施行されるようになったEMRに際しては組織型をも考慮し,慎重に行うべきと考えさせられる症例であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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