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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻4号

1999年03月発行

文献概要

今月の主題 胃型の分化型胃癌―病理診断とその特徴 主題症例

胃型の粘膜内高分化型腺癌の1例

著者: 八尾建史1 岩下明徳2 中原束3 櫻井俊弘1 市丸壽彦1 永江隆1 松井敏幸1 八尾恒良1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2福岡大学筑紫病院病理部 3九州中央病院内科

ページ範囲:P.555 - P.561

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要旨 患者は69歳,女性.胃体中部小彎に15mm大の同色から淡発赤調の分葉状の扁平隆起性病変を認めた.X線検査を遡及的に検討し,4年6か月前は12mm大の小顆粒状隆起が集簇した病変であった.初回生検診断では再生上皮と診断されていたが,詳細に見直すと一部に乳頭状から絨毛状の組織異型を認め,高分化型腺癌を示唆する所見であった.切除標本の組織学的所見でも,腺窩上皮に類似した異型の弱い組織の一部に強い細胞異型を伴う乳頭状から絨毛状の構造異型を持つ部分がみられ,胃型の高分化型腺癌に特徴的な組織像であった.粘液染色では,腫瘍は胃型の形質のみから成っていた.これらの臨床的病理学的特徴に習熟し注意深く検索することが,一般に難しいと言われている胃型の高分化型腺癌の診断に必要と考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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