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書評「市場原理に揺れるアメリカの医療」
著者: 黒川清1
所属機関: 1東海大学医学部
ページ範囲:P.573 - P.573
文献購入ページに移動 「市場原理に揺れるアメリカの医療」がついに一冊の本として出版された.“ついに”と私が言うのは,実はこのシリーズが1996年から医学書院発行の「週刊医学界新聞」に連載されたときから大変おもしろく,その内容の正確さに感心して毎回非常に興味を持って読んでいたからである.しかもこれはまさにアメリカの医療の改革における,いわゆる“マネージドケア”の導入から始まり,それに対して大学あるいは病院が急速に対応を行ってきた時期にこの連載が始まっているからである.
著者の李先生はハーバード大学で研修・研鑽を積まれ,現在助教授としてご活躍の方であるが,このアメリカの医療を巡る多くの経済的な動きやビジネスの動き,それに対する医療現場での色々な問題,社会的な問題,更に患者と医者との関係,病院との関係などについての多くの問題点や苦悩を,極めて正確にしかも臨場感溢れるタッチで書いている.私はその都度コピーをとっていたが,出版元あるいは著者にこれは必ずいつか一冊の本にして出してもらおうと書こうと思っていたぐらいであり,これがいよいよまとまって出版されたことは大歓迎である.しかも著者のいるボストン周辺でのいろいろな医療に関する話題,例えば「あるガン患者の手記」や「ダナ・ファーバー事件」「スター選手の死」などが極めて興味深く書いてある.日本での医療現場の人にはなかなかわからない,そして理解できないこともあるかもしれないが,私のように長年アメリカの現場にいた者にとっては誠に身にしみるような筆の進め方であり,おもしろい読み物になっている.
著者の李先生はハーバード大学で研修・研鑽を積まれ,現在助教授としてご活躍の方であるが,このアメリカの医療を巡る多くの経済的な動きやビジネスの動き,それに対する医療現場での色々な問題,社会的な問題,更に患者と医者との関係,病院との関係などについての多くの問題点や苦悩を,極めて正確にしかも臨場感溢れるタッチで書いている.私はその都度コピーをとっていたが,出版元あるいは著者にこれは必ずいつか一冊の本にして出してもらおうと書こうと思っていたぐらいであり,これがいよいよまとまって出版されたことは大歓迎である.しかも著者のいるボストン周辺でのいろいろな医療に関する話題,例えば「あるガン患者の手記」や「ダナ・ファーバー事件」「スター選手の死」などが極めて興味深く書いてある.日本での医療現場の人にはなかなかわからない,そして理解できないこともあるかもしれないが,私のように長年アメリカの現場にいた者にとっては誠に身にしみるような筆の進め方であり,おもしろい読み物になっている.
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