今月の主題 大腸腫瘍内視鏡的切除後の局所再発―腺腫・m癌を中心に
主題
大腸腫瘍の内視鏡的切除後における局所再発の実態―切除断端からみた再発率とその経過
著者:
太田智之1
斉藤裕輔3
折居裕1
渡二郎3
村上雅則1
吉田暁正1
長峯美穂1
中野靖弘1
松本昭範1
有里智志1
大田人可1
里悌子2
藤谷幹浩3
小原剛3
高後裕3
所属機関:
1旭川厚生病院消化器科
2旭川厚生病院病理
3旭川医科大学第3内科
ページ範囲:P.611 - P.618
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要旨 内視鏡的切除(ER)後に経過観察しえた径10mm以上の大腸腫瘍232例314病変(腺腫176病変,m癌121病変,sm1癌17病変)を対象に,切除断端からみた遺残再発のリスク,再発の実態とその治療経過について検討した.局所再発は12病変にみられ,切除断端陰性の病変には再発はなく,全例,断端不明もしくは陽性であった.切除法でみると粘膜切除術において腫瘍径20mm以上で断端陰性例は減少したが,ポリペクトミーでは腫瘍径と切除断端には相関は認めなかった.再発病変における初回の肉眼型は結節集簇型6病変,Ⅱa3病変,Ⅰs(p)3病変であった,また一括切除例の局所再発は0.8%と低率で,再発病変の83.3%(10/12病変)が分割切除であった.再発病変の11病変は12か月以内に発見され,また11病変に対し追加治療(再ER3病変,焼灼5病変,外科手術3病変)を行い,全例完全治癒を得た.以上から,遺残再発のリスクは,①20mm以上の病変に対する粘膜切除術,②分割切除,③表面型あるいは結節集簇型腫瘍であり,これらの病変に対して厳重な経過観察が必要であると考えられた.