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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻5号

1999年04月発行

文献概要

今月の主題 大腸腫瘍内視鏡的切除後の局所再発―腺腫・m癌を中心に 主題

大腸腫瘍内視鏡的切除の根治度判定―私はこうしている―腺腫・m癌を中心に

著者: 寺井毅1 大野康彦1 坂本直人1 二瓶英人1 小林修1 三輪洋人1 荻原達雄1 佐藤信紘1

所属機関: 1順天堂大学医学部消化器内科

ページ範囲:P.663 - P.664

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 近年,大腸表面型腫瘍の報告,内視鏡的粘膜切除術(EMR)の普及とともに,大きな隆起型・表面型腫瘍の内視鏡切除へと適応が拡大し,積極的に内視鏡切除が行われるようになってきた.しかし,大きい病変になるとm癌までの病変とはいえ,少なからず遺残もあり,治療の根治性において慎重な取り扱いを要する.われわれは当施設で1990年7月から1998年9月までの間に,20mm以上で,内視鏡切除された大腸腫瘍のうち十分に検討可能であった腺腫42例・m癌38例に関して遺残再発を検討した.腫瘍径と遺残再発率に関しては,20~24mmで14.0%,25~29mmで23.8%,30mm以上で12.5%と明らかな相関性が得られなかった.処置の手技に関しては,一括でポリペクトミー・EMRされた病変の遺残再発率が8.8%であったのに対して,分割でポリペクトミー・EMRされた病変の遺残再発率が34.8%と有意に高かった(Fig. 1a~e).また,切除標本の側方断端と遺残再発の検討では,側方断端が陰性であった病変の遺残再発率は2.4%であったのに対し,側方断端が不明または陽性であった病変の遺残再発率は30.8%と有意に高かった.すなわち,遺残再発の危険因子としては腫瘍径の大きさよりは,分割切除例・切除標本の側方断端陽性例が重要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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