icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻5号

1999年04月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

潰瘍瘢痕として経過観察され,リンパ管侵襲が著明であった0-Ⅱc型早期胃癌の1例

著者: 後藤裕夫1 塩谷真由美1 近藤浩史1 浅野隆彦1 加藤淳一郎1 南立由歌1 真鍋知子1 星博昭1 加藤元久2 佐治重豊2 下川邦泰3

所属機関: 1岐阜大学医学部放射線科 2岐阜大学医学部第2外科 3岐阜大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.679 - P.684

文献購入ページに移動
要旨 胃体下部後壁の胃潰瘍瘢痕として長期間経過観察されていた54歳の男性に,瘢痕の肛門側に隣接する0-Ⅱc型の早期癌を発見した.表面露出部は8×3mm大の小陥凹にとどまる印環細胞癌であったが,その周囲の粘膜深層,粘膜下層のリンパ管内を充実型の低分化腺癌が侵襲し,20×10mm大の拡がりを示していた.同部位はX線では胃小区間溝の目立たない淡いバリウム斑として,内視鏡では淡い槌色域を呈していた.また,第2群のリンパ節に転移がみられた.悪性サイクルの経過中に瘢痕の肛門側にのみ癌が残存し,その部の観察が不十分となり診断が遅れたものと考えられた.潰瘍の経過観察に際しては常に悪性の可能性を考慮した注意深い観察が必要であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら