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今月の主題 大腸sm癌の内視鏡的切除をめぐって 序説
大腸sm癌に対する内視鏡的切除をめぐって
著者: 飯田三雄1
所属機関: 1川崎医科大学消化器内科Ⅱ
ページ範囲:P.713 - P.714
文献購入ページに移動 大腸早期癌のうち,粘膜内癌(m癌)で転移・再発を来した症例は皆無とされているが,癌がわずかでも粘膜下層に浸潤した段階(sm癌)から転移・再発の危険性が生じ,その危険性は癌浸潤の程度に比例して増大することが知られている.したがって,大腸m癌が内視鏡的治療のみで根治可能な病変であるのに対し,大腸sm癌の取り扱いについては,各施設問で差があり一定の見解に達しているとは言い難い.
このような背景の下,本誌では,大腸sm癌の転移リスクファクターについてこれまで3回の多施設アンケート調査が行われている1)~3).3回目の調査3)では,大腸sm癌のリンパ節転移は外科的切除1,806例中153例に認められ,その陽性率は8.5%であった.すなわち,結果的にみると,大腸sm癌の90%近くの症例は,内視鏡的切除や局所切除のみで治癒可能な病変であり,多くの症例が不必要な外科的切除を受けていることになる.この結果的に不必要な外科的切除例をできるだけ減らし,sm癌に対する内視鏡的切除の従来の適応を見直すとともに,適応拡大のための新しい指標を追求するという主旨の下に本号は企画された.
このような背景の下,本誌では,大腸sm癌の転移リスクファクターについてこれまで3回の多施設アンケート調査が行われている1)~3).3回目の調査3)では,大腸sm癌のリンパ節転移は外科的切除1,806例中153例に認められ,その陽性率は8.5%であった.すなわち,結果的にみると,大腸sm癌の90%近くの症例は,内視鏡的切除や局所切除のみで治癒可能な病変であり,多くの症例が不必要な外科的切除を受けていることになる.この結果的に不必要な外科的切除例をできるだけ減らし,sm癌に対する内視鏡的切除の従来の適応を見直すとともに,適応拡大のための新しい指標を追求するという主旨の下に本号は企画された.
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