今月の主題 大腸sm癌の内視鏡的切除をめぐって
主題
内視鏡的切除適応拡大のための大腸sm癌深達度診断の検討―内視鏡を中心に
著者:
平田一郎1
栗栖義賢2
浜本順博1
森川浩志1
佐々木伸一1
村野実之1
江頭由太郎2
前村憲太朗1
豊田昌夫3
北江秀博4
北村影英5
勝健一1
谷川允彦3
所属機関:
1大阪医科大学第2内科
2大阪医科大学第1病理
3大阪医科大学一般消化器外科
4市立枚方市民病院消化器内科
5南大阪病院消化器外科
ページ範囲:P.737 - P.746
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要旨 大腸sm癌に対する内視鏡切除術の適応拡大の可能性を検討する目的で,sm癌288病変の解析を行った.sm癌の肉眼型別頻度はⅠs/Ⅰspが最も多く(41%),次にⅡa+Ⅱc(23%)であり,リンパ節転移陽性sm癌の80%がⅠs/ⅠspとⅡa+Ⅱcであった.リンパ節転移率は4.2%(sm10%,sm26.6%,sm312.8%)であった.EMR後追加腸切除例の6.5%にリンパ節転移を認めた.ロジスティック回帰分析の検討では,sm深部(SM2,3)浸潤の指標として有意な内視鏡所見は示されても,特にリンパ節転移の指標となる内視鏡所見は示されなかった.sm癌の形態計測値では,リンパ節転移陽性sm癌の最小sm浸潤値は2,300μmで,これ未満のsm浸潤値がリンパ節転移のない理論的安全域と考えられた.リンパ節転移陽性の陥凹型sm癌ではsm浸潤値は4,600μmと有意に深く,smmassiveでもsm2程度の陥凹型sm癌に対しては内視鏡切除適応拡大の可能性が示唆された.一方,無茎隆起型sm癌についてはこのようなことは言えなかった.