今月の主題 大腸sm癌の内視鏡的切除をめぐって
主題
深達度からみた大腸sm癌の内視鏡治療適応拡大の可能性と危険性―内視鏡治療施行大腸sm癌症例の検討から
著者:
田中信治1
春間賢2
大江啓常2
永田信二1
伊藤雅啓2
網岡徹2
古土井明2
平本智樹2
弘田祐一2
清水俊彦2
國弘真己2
北台靖彦1
吉原正治2
隅井浩治2
梶山梧朗2
嶋本文雄3
所属機関:
1広島大学医学部光学医療診療部
2広島大学第1内科
3広島大学病理部
ページ範囲:P.757 - P.764
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要旨 内視鏡的治療施行大腸sm癌80病変を対象に,深達度からみた内視鏡的切除の限界を明らかにするため,深部断端陽性率などの臨床病理学的所見と遺残,局所・転移再発,予後との関係を検討した.sm浸潤度は,400μm未満29例,400~1,500μm21例,1,500μm以上30例で,深部断端陽性率は13/80(16.3%)であった.13例中,隆起型病変が10例と高頻度であったが,sm浸潤度1,500μm未満の病変(6.0%;3/50)は1,500μm以上の病変(33.3%;10/30)に比べて有意に低率であった.局所遺残は,辺縁m癌の遺残1例と内視鏡的切除を途中で中断したsm遺残の1例のみで,ともに深部断端陽性例であった.ほかには追加手術例,経過観察例ともに遺残・転移再発は認めず,sm浸潤度1,500μm未満の病変は内視鏡的に局所根治可能であると考えられた.