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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻6号

1999年05月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌の内視鏡的切除をめぐって 主題

sm浸潤度分類からみた大腸sm癌の内視鏡治療の適応と限界

著者: 山野泰穂1 工藤進英1 為我井芳郎1 今井靖1 木暮悦子1 石川恵子1 井上崇1 江原重幸1 孟尼麗1 田村知之1 檜垣智彦1 金柄老1 松田知己1 成澤亜古1 粕谷孝光1 日下尚志1

所属機関: 1秋田赤十字病院胃腸センター

ページ範囲:P.769 - P.774

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要旨 大腸sm癌の内視鏡治療の適応と限界について,sm浸潤度細分類と脈管侵襲,リンパ節転移から検討を行った.対象は当センターで1985年4月から1999年3月までの期間に経験した大腸sm癌323病変,脈管侵襲は164病変(50.8%)の陽性率を示し,リンパ節転移は全体で18病変(10.9%)に認められ,2群リンパ節転移も2病変(1.2%)に認めた.また脈管侵襲を伴わないsm癌にはすべてにリンパ節転移が認められなかった.sm細分類の検討では,sm1c以深で脈管侵襲30%を超え,1群リンパ節転移を認めた.肉眼形態ではsm深部浸潤傾向の強いⅡa+Ⅱc病変で63.5%と最も高い脈管侵襲を示したが,リンパ節転移率は,隆起型が高値を示した.病理組織型の検討では,中分化腺癌群が脈管侵襲を高率に示したがリンパ節転移が存在せず,高分化腺癌群の12.4%にリンパ節転移を認めた.以上より現状における内視鏡治療の適応は,脈管侵襲を伴わないsm1bまでの病変となるが,今後腫瘍先進部の組織型や分子生物学的アプローチなどの解析を加えることで適応を拡大できる可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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