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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻6号

1999年05月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌の内視鏡的切除をめぐって 主題

大腸sm癌に対する内視鏡的切除の可能性―分子病理学的立場から

著者: 日下利広12 甲斐原司12 佐野寧12 森田賀津雄12 小野祐子12 藤盛孝博12 藤井茂彦3 河南智晴3 千葉勉3

所属機関: 1獨協医科大学第2病理 2現国立がんセンター東病院消化器内科 3京都大学医学部消化器病態学

ページ範囲:P.785 - P.794

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要旨 内視鏡的・外科的に切除された大腸sm癌41例について,①H・E染色像による組織学的再評価(modified Gleason's grading system):前立腺癌のGleason分類を応用した組織学的分化度のスコア化(低いものから,A群,B群,C群に分類),②接着因子であるE-cadherinとβ-cateninの免疫組織学的検討を行った.組織学的再評価では,従来の方法では高分化腺癌とされる病変の中にもスコアB群・C群のものがあり,再評価結果はリンパ管侵襲,リンパ節転移と相関した.大腸sm癌における接着因子の検討では,発現消失や核内・細胞質への発現などの異常を示した.これらの接着分子の正常な細胞膜への発現が保持されている病変では,脈管侵襲,リンパ節転移ともに頻度が低かった.従来の大腸癌分化度の評価に比べて,modified Gleason's grading systemは臨床病理学的な因子とより相関したが,接着分子の膜への局在の消失をみることで,更に的確な転移高危険群の選択が可能となることが示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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