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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻6号

1999年05月発行

文献概要

今月の主題 大腸sm癌の内視鏡的切除をめぐって 主題症例

内視鏡的に深達度mと診断してEMRが施行されたⅠsp型大腸sm癌の1例

著者: 中村尚志1 山村彰彦2 細井董三1 中井呈子1 岡田利邦1 山田耕三1 入口陽介1 中橋栄太1 須田泰史1 関田吉久1 原義明1

所属機関: 1多摩がん検診センター消化器科 2多摩がん検診センター検査科

ページ範囲:P.795 - P.799

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要旨 便潜血陽性が契機となって発見された大きさ約10mmの直腸のⅠsp型病変で,注腸X線検査では側面像の弧状変形から深達度sm2と診断された.大腸内視鏡検査では病変は中央部のやや深い切れ込みによって分葉状を呈していたが,緊満感もなく表面の凹凸も目立たず,sm癌を示唆する所見は明らかではなかった.また拡大内視鏡観察でも表面構造は主にⅢlないしⅣ型pit patternから成り,中央部の切れ込みの部分でやや不整なⅢl+Ⅲs型の密在を認めるのみで,深達度mの早期癌と診断し,EMRを施行した.病理組織所見では,腫瘍の表層は高分化腺癌に覆われていたが,中央の切れ込みの部分で低分化腺癌に変化し粘膜下層の中層まで浸潤していた.注腸X線検査では深達度を正診したが,内視鏡で浅く読みすぎたため治療法を誤った大腸sm癌の1例を報告した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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