icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻6号

1999年05月発行

文献概要

--------------------

編集後記

著者: 武藤徹一郎

所属機関:

ページ範囲:P.828 - P.828

文献購入ページに移動
 大腸sm癌の内視鏡的摘除のみによる治療がどこまで可能であるかという問いは,ポリペクトミーが開始されたときからの大きな課題であり,各施設の経験症例が少なかった1980年代から計3回にわたってアンケート調査によってその答えを出そうという試みがなされた.細かい組織学的所見はさておいて,浸潤した癌の容積が危険因子の1つであることには異論はないが,日常診療の場では浸潤の深さでその判定が行われる.初期のころのmassive invasionという基準がsm1~sm3に3分類され,更にsm1の深さをどう規定するかという問題が論じられてきた.本号で少しは意見の幅が縮まるかと思われたが,どうもその期待は裏切られたようである.sm1の浸潤値として500μmから2,300μmの差がみられるし,sm癌すべてに追加腸切除が必要という考えとsm2まで内視鏡摘除の適応を拡大できるという考えが示されている.これでは意見の幅の縮小どころか,ますますその差が明らかになったとしか言いようがない.これは研究ではなくて臨床の問題であるのに,自己主張ばかりでは読者はますます混乱するばかりであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?