ATLの消化管病変の臨床像
著者:
青崎真一郎
,
濱田富志夫
,
馬場泰忠
,
古田敏久
,
畠中真吾
,
西俣寛人
,
石塚賢治
,
花田修一
,
大石一郎
,
美園俊明
,
小倉芳人
,
蓮井和久
,
中村勇一
,
尾辻真人
,
南寛之
,
島崎隆
,
宇都宮與
,
高崎能久
ページ範囲:P.857 - P.872
要旨 ATLの消化管病変として腫瘍細胞の消化管浸潤病変について,自験例22例の画像所見を画像所見と密接に関係する腫瘍細胞の浸潤・発育進展様式の観点から検討し,肉眼像を分類し,その特徴について症例を呈示し述べた.胃では,画像検査の施行された22例中18例,小腸では17例中9例,大腸では16例中9例に浸潤がみられた.ATLの消化管浸潤は広範囲で,かつ高度に及び,多発性またはびまん性の浸潤病変が多い傾向にあった.画像所見の検討により浸潤・発育進展様式とその肉眼像を基本的に以下の3つに分類した.①腫瘍細胞が腫瘤をつくらず消化管壁を連続性にびまん性に浸潤するタイプで,肉眼像としては粘膜面の凹凸が目立たない平坦病変を呈す―びまん浸潤型(表層型).②腫瘍細胞がリンパ装置に浸潤し腫瘤を形成するタイプで,肉眼像としてはMLP様の多発性の隆起性病変を呈す―多発結節型.③腫瘍細胞が多数のリンパ装置に浸潤し小さな腫瘤を形成するタイプで,肉眼像としてはたこいぼびらん様の小隆起がびまん性に多発した病変を呈す―多発びまん浸潤型.高度に白血化した症例は主として①の,その他の症例は主として②または③の浸潤・発育進展様式をとり,その肉眼像を呈すると考えた。ATLの消化管浸潤病変は腫瘍細胞の消化管への浸潤・発育進展様式および浸潤の程度が密接に関係し,多彩な肉眼像を呈すると考えた.更に消化管原発のATLの可能性について自験例を呈示し述べた.またATLの消化管の日和見感染症として,糞線虫とIsospora belliの感染症の症例を呈示した.