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文献詳細

雑誌文献

胃と腸34巻8号

1999年07月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

特異な形態を示した胃噴門部平滑筋肉腫(GIST,uncommitted type)の1例

著者: 藤代浩史1 古田賢司1 佐藤宏1 高下成明1 芦澤信雄1 新垣昌利1 今岡友紀2 長岡三郎3

所属機関: 1島根県立中央病院消化器科 2島根県立中央病院内視鏡科 3島根県立中央病院病理診断科

ページ範囲:P.1057 - P.1061

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要旨 患者は79歳,男性.心窩部痛にて当科受診.上部消化管内視鏡検査にて胃噴門部に隆起性病変を認められたため,精査加療目的で入院となった.胃X線検査では径約4cmの隆起性病変を認めた.胃内視鏡では隆起の立ち上がりは周囲粘膜と同様の粘膜で覆われているが,表面は大部分粘膜が脱落し,腫瘍が露出していた.露出面は暗赤色調を呈し易出血性であった.胃噴門部の悪性粘膜下腫瘍の診断にて胃全摘および脾摘,リンパ節郭清術施行.切除標本では大きさ3×3×2.5cmの砲台状の粘膜下腫瘍で広く浅い潰瘍を形成するという特異な形態を示した.組織診断はH・E染色では円形,長楕円形,紡錘形の細胞が錯綜し,部分的に胞巣状になり,密に増殖する間葉系腫瘍であり,核分裂を×20で1視野に5個以上と多数認めた.H・E染色からは平滑筋肉腫とされた.免疫組織化学的染色では平滑筋アクチン,デスミン,ビメンチン,S-100,NSE陰性,CD34,c-kit陽性となり,消化管間葉系腫瘍をGISTと総称する分類ではGIST,uncommitted type,malignancyとなった.GIST分類はその必要性を認めないとする立場の意見があり,いまだに広く使用されていないのが現状と思われる.新しい消化管間葉系腫瘍の分類として更に症例の検討が行われ臨床的有用性が高められることが望まれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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