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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻10号

2000年09月発行

文献概要

今月の主題 食道アカラシア 主題

食道アカラシアの病理―発生機序からみて

著者: 西上隆之1 大江正之1 高梨忠朗1 沖村明1 中正恵二1 福井信2 山村誠2 福田能啓2 里見匡迪2 中井謙之3 豊坂昭弘3 植松邦夫1

所属機関: 1兵庫医科大学病理学第2講座 2兵庫医科大学内科学第4講座 3兵庫医科大学外科学第1講座

ページ範囲:P.1239 - P.1244

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要旨 臨床経過,胸部X線,上部消化管造影所見,内視鏡所見,および内圧検査などより食道アカラシアと診断され,外科的に切除された31症例50切片を用いて,主として病理学的に検討を行った.H・E染色標本では,Auerbach神経叢の神経節細胞の消失,減少,変性が顕著であった.食道癌を合併したアカラシアでは,神経節細胞の消失は拡張部に高度であった.従来の報告どおりアカラシアでは,アセチルコリンエステラーゼ活性によるコリン作動性神経活性の分布は,Auerbach神経叢上にほとんど認められなかった.また,VIPも同部に染色されず,食道下部括約筋の弛緩不全にVIPも関与しているものと思われる.アカラシア症例では,筋層間にc-kit陽性のCajalの介在細胞の減少はみられなかったが,Cajalの介在細胞に絡み付いて存在すると言われるNO合成細胞はアカラシアで減少しており,NANC抑制神経の障害,特にCajalの介在細胞に対する作用の障害が食道アカラシアの病態に関与するものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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