文献詳細
文献概要
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書評「開業医のための消化器クリニック」
著者: 鈴木荘一12
所属機関: 1日本プライマリ・ケア学会 2鈴木内科医院
ページ範囲:P.1256 - P.1256
文献購入ページに移動 まず本を開くと,口絵として18枚の内視鏡写真と腹部超音波画像45枚に圧倒される.関東逓信病院退職後,開業以来の症例からすべて選ばれている.どれも鮮明で,解説は簡,要を得ている.
多賀須先生とは昭和40年代初期,国立がんセンターで市川平三郎先生の指導を受けていたころ,読影会でよく顔を拝見していた.既に開業していた私は,当時多かった胃癌の早期発見に魅せられ,そこに医師としての生き甲斐を覚えていた.そのころから35年,内視鏡は驚異的に進歩し,超音波診断も第一線医師の有力な診断機器となった.プライマリ・ケアの同じ開業医として,多賀須先生の本を食い入るように読んだ.実に共感するところ多く,引用したいところは随所にある.先生の言われるように,消化器診断の面白いところは,開業医でも“知識”と“わざ=うで”を持っていれば,身体的診察のうえ,内視鏡と超音波診断装置などを上手に使うことによって,大病院の医師と遜色ない水準で消化器病に対処できるところである.むしろ開業医は患者と近接的な人間関係があるので,診断・治療に満足感があり,継続性からも,現在の重要課題である医療費節約にも貢献している.序文にもあるが,開業していると,たちまち時代遅れになりそうなコンプレックスに陥る.これだけは知っているべしというタイトルの特集号がつぎつぎに発行されるが,とても付き合いきれるものでない.したがってこの本は,実用的な「洗練された消化器病診療」ハンドブックである.先生は,頭の知識だけではなく,自らの診療体験から書かれているので,迫力ある説得性があり,文章にリズムがある.
多賀須先生とは昭和40年代初期,国立がんセンターで市川平三郎先生の指導を受けていたころ,読影会でよく顔を拝見していた.既に開業していた私は,当時多かった胃癌の早期発見に魅せられ,そこに医師としての生き甲斐を覚えていた.そのころから35年,内視鏡は驚異的に進歩し,超音波診断も第一線医師の有力な診断機器となった.プライマリ・ケアの同じ開業医として,多賀須先生の本を食い入るように読んだ.実に共感するところ多く,引用したいところは随所にある.先生の言われるように,消化器診断の面白いところは,開業医でも“知識”と“わざ=うで”を持っていれば,身体的診察のうえ,内視鏡と超音波診断装置などを上手に使うことによって,大病院の医師と遜色ない水準で消化器病に対処できるところである.むしろ開業医は患者と近接的な人間関係があるので,診断・治療に満足感があり,継続性からも,現在の重要課題である医療費節約にも貢献している.序文にもあるが,開業していると,たちまち時代遅れになりそうなコンプレックスに陥る.これだけは知っているべしというタイトルの特集号がつぎつぎに発行されるが,とても付き合いきれるものでない.したがってこの本は,実用的な「洗練された消化器病診療」ハンドブックである.先生は,頭の知識だけではなく,自らの診療体験から書かれているので,迫力ある説得性があり,文章にリズムがある.
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