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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻10号

2000年09月発行

今月の主題 食道アカラシア

主題症例

食道アカラシアに合併した食道多発表在癌の1例―異常p53蛋白発現からみた癌発生母地としてのアカラシア

著者: 梶山美明1 鶴丸昌彦1 服部公昭1 國井康弘1 安藤隆夫1 岩沼佳見1 鳴海賢二1 山崎滋孝2 松本俊治2

所属機関: 1順天堂大学医学部第1外科 2順天堂大学医学部病理科第1

ページ範囲:P.1287 - P.1292

文献概要

要旨 食道アカラシアと診断された後に定期的なfollow-upを受けず,診断後31年目に切除された食道表在癌症例を経験した.切除標本ではsm3とm2の2病変を有する多発癌症例であった.切除標本のヨード染色では2つの扁平上皮癌病巣のほかに約20か所のヨード不染~淡染部が認められた.免疫組織染色による異常p53蛋白発現の検索ではヨードで正染される部位ではp53蛋白は正常発現していたが,非癌部でもヨード染色性の低下した部位では異常発現を示した.異常p53蛋白発現から見るとアカラシア食道では複数のprecancerous lesionが存在している可能性が示唆され,アカラシアのfollow-upにおいては積極的なヨード染色を伴う内視鏡検査が必要であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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