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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻10号

2000年09月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

術後25年目に発症した乳癌の食道・胃・十二指腸・大腸転移の1例

著者: 杉本健1 白川京佐1 堀尾嘉昭1 岩崎央彦1 景岡正信1 丸山保彦1 本田聡1 渡辺文利1 横山日出太郎2 北山康彦3

所属機関: 1藤枝市立総合病院消化器科 2藤枝市立総合病院外科 3藤枝市立総合病院病理診断科

ページ範囲:P.1313 - P.1319

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要旨 患者は72歳の女性で,1973年に右乳癌切除術を受けている.胸部の皮疹を主訴に当院皮膚科を受診,Hb 8.4g/dlと貧血を指摘された.上部消化管内視鏡検査を施行したところ,たこいぼびらん様の小隆起が前庭部から胃体中部にかけて多発しており,胃角部には不整な陥凹性病変が認められた.たこいぼびらん様の隆起および胃角部の生検にて低分化型腺癌が検出された.原発性の胃癌か,乳癌の転移性胃癌かを鑑別する目的で胃前庭部のたこいぼ様病変に対して内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理組織標本では,腫瘍細胞は乳癌細胞の形態と非常に類似しており,これらの胃病変は乳癌の転移によるものと考えられた.また,本患者は食道,十二指腸球部,上行結腸から下行結腸にも小隆起が散在しており,生検の結果すべて低分化型腺癌であった.また,皮疹の生検でも低分化型腺癌が検出された.本症例のように術後25年以上経過した例や臨床的に胃以外の消化管の食道・十二指腸・大腸に同時に病変を認めた例は極めてまれであると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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