icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻10号

2000年09月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

胃壁膿瘍の1例

著者: 稲葉知己1 河合公三1 荻田夕子1 高口浩一1 吉田康博1 喜田恵治1 間野正平2

所属機関: 1香川県立中央病院内科 2香川県立中央病院病理部

ページ範囲:P.1320 - P.1326

文献購入ページに移動
要旨 患者は54歳,女性.主訴は心窩部痛.生来健康で,特に誘因なく心窩部痛が出現し,CRPが2.2mg/dl以外に血液検査上も異常を認めなかった.上部消化管内視鏡検査にて胃幽門部に強い粘膜集中を伴った粘膜下腫瘍様病変を認め,肛門側に憩室様陥凹部と口側の不整部に小孔を認めた.腫瘤口側の小孔にERCP用カニューラが挿入可能で,白色膿性物が流出し内視鏡的ドレナージを施行しえた.膿性物の細胞診では悪性細胞は認めず,多数の好中球を認め,培養ではStreptococcus属を認めた.各種画像所見も合わせ胃壁膿瘍と診断し,抗生物質を投与するも腫瘍が消失しないため手術を施行した.最終病理診断は胃壁膿瘍であり,前庭部の陥凹部は憩室型の重複胃であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?