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書評「内科診断学」
著者: 宮坂信之1
所属機関: 1東京医科歯科大学生体応答学
ページ範囲:P.1499 - P.1499
文献購入ページに移動 近年,習得すべき医学的知識は急速に増大していることもあり,医学生は枝葉末節の知識ばかりを覚え込み,根幹となる病態生理を理解していない.しかし,疾患の病態生理を知らずして詰め込んだ臨床的知識はすぐに忘却の彼方に消え去ってしまうのがおちである.更に,医学生の中には患者との適切な人間関係を保持するのが困難である人たちが意外と多い.挨拶ができないばかりか,相手の眼を見ることもできず,会話のための適切な語法も知らない.もう1つの問題点は医学生に問題解決指向型思考が欠落していることである.自らの頭で問題点を抽出し,これをpriorityの高い順番に並べ直して鑑別診断を行うという能力が極めて乏しい.
このような問題点を踏まえて新たに刊行されたのが福井次矢・奈良信雄両教授の編集になる「内科診断学」である.既に内科診断学書自体は今までに何冊も刊行されているが,この本ならではのユニークな点をいくつか紹介してみよう。まず,本の構成をみてみると,Ⅰ章の「診断の考え方」,Ⅱ章の「診察の進め方」に次いで,Ⅲ章は「症候編」,Ⅳ章は「疾患編」と続く.すなわち,症候からのみならず主要疾患からの両方向的なアプローチが可能なように工夫されている.したがって,本書は単なる内科診断学書ではなく,医学生は内科学書として使用することも可能であり,一石二鳥の効果を挙げている.
このような問題点を踏まえて新たに刊行されたのが福井次矢・奈良信雄両教授の編集になる「内科診断学」である.既に内科診断学書自体は今までに何冊も刊行されているが,この本ならではのユニークな点をいくつか紹介してみよう。まず,本の構成をみてみると,Ⅰ章の「診断の考え方」,Ⅱ章の「診察の進め方」に次いで,Ⅲ章は「症候編」,Ⅳ章は「疾患編」と続く.すなわち,症候からのみならず主要疾患からの両方向的なアプローチが可能なように工夫されている.したがって,本書は単なる内科診断学書ではなく,医学生は内科学書として使用することも可能であり,一石二鳥の効果を挙げている.
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