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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻12号

2000年11月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

粘膜下腫瘍様の形態を呈し肛門周囲Paget病変を伴った肛門管の二重癌の1例

著者: 辻秀治12 森田聖2 福光真二2 群大裕2 大川原康夫2 牧野弘之3 清水正啓3 小泉健二4 石黒信吾5

所属機関: 1国立滋賀病院内科 2愛生会山科病院内科 3愛生会山科病院外科 4小泉肛門科外科医院 5大阪府立成人病センター病理検査科

ページ範囲:P.1541 - P.1547

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要旨 患者は58歳,女性.1998年7月に下血を認め某病院を受診し,大腸内視鏡検査を受けるも異常なしと言われた.12月より再度下血を認め近医を受診し,直腸指診で肛門の硬結を触れるため当院へ紹介入院となった.注腸X線および内視鏡検査で直腸下端から肛門管にかけて複雑な形態を呈する粘膜下腫瘍様隆起を認め,腹会陰式直腸切断術を行った.腫瘍は直腸下端から肛門管にかけ左壁を中心に存在し,径7.5×4cmの1型の低分化型腺癌で,深達度はa1,粘膜内に癌がみられたのは一部のみで,大部分が直腸・肛門管の粘膜下以下に浸潤していた.切除標本肉眼像では指摘できなかったが,病理組織学的検討の結果,肛門側に独立したもう1つの病変を認めた.肛門管の後壁を中心に存在し,径6×1.5cmの高分化型腺癌で,深達度はsm,扁平上皮内にPaget typeで浸潤していた.本例は特異な形態を呈し画像診断上示唆に富み,なおかつPaget病変を合併するまれな症例であるため,若干の考察を加え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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