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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻12号

2000年11月発行

早期胃癌研究会症例

開放性潰瘍合併未分化型胃癌の1例―特に深達度診断に関する組織構築の検討

著者: 中原慶太12 鶴田修12 立石秀夫12 古波倉允12 慶田隆二12 松本和博12 辻雄一郎12 河野弘志12 藤田三丈12 伴茂樹12 豊永純12 佐田通夫12 孝富士喜久夫23 武田仁良23

所属機関: 1久留米大学医学部第2内科 2久留米大学医学部消化器センター 3久留米大学医学部外科

ページ範囲:P.1548 - P.1556

文献概要

要旨 患者は50歳,女性.開放性潰瘍を伴う未分化型胃癌(深達度mp,20×15mm)で,術前深達度診断上,病巣内潰瘍および小規模な周堤形成の組織学的な成り立ちの推定が問題となった症例である.潰瘍合併胃癌では,潰瘍の修飾によって癌の深部浸潤に類似した所見が現われる場合があり,術前の深達度診断は容易でないとされている.画像所見と組織所見とを対比分析した結果,これらの組織学的な成り立ちは粘膜下層主体に線維形成反応を伴う癌によるものであった.更にsm浸潤部の癌量(密度)の分布が不均一で,病巣中心部ほど癌が密に存在し病巣辺縁部ほど疎であった.このため,画像上認められた胃壁の伸展不良・硬化所見が消化性潰瘍による炎症性変化よりも強く,癌量の多い進行癌に比べて弱かったものと推定した.深達度診断精度の向上には,X線・内視鏡の動的観察によって胃壁の肥厚および伸展不良・硬化所見の程度判定を行い,総合的な病変構築を推定することが重要と思われた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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