今月の主題 21世紀への消化管画像診断学―歩みと展望
主題
消化管虚血性疾患の比較診断学
著者:
古賀秀樹1
飯田三雄1
八尾隆史2
松本主之3
青柳邦彦4
武田昌治1
辻博5
三上芳喜6
藤田穣1
天野角哉1
垂水研一1
平川克哉1
城由起彦5
松本啓志1
所属機関:
1川崎医科大学消化器内科Ⅱ
2九州大学大学院医学研究院形態機能病理
3九州大学医学部光学医療診療部
4福岡大学医学部第3内科
5九州大学大学院医学研究院病態機能内科
6川崎医科大学病理
ページ範囲:P.1591 - P.1601
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要旨 “比較診断学”の理念に基づいて,消化管の一過性虚血性疾患の臨床病理学的特徴を検討した.最も高頻度に遭遇する虚血性大腸炎,まれながら認められる虚血性小腸炎,過去に報告は認めないが部分的脾動脈塞栓術に合併する一過性の虚血性胃病変を対象として比較したが,いずれにおいても縦走潰瘍が共通した臨床所見であった.経過とともに認められる形態変化では,部位に特異的な管腔の大きさと比例するかのように,小腸では中心性管状狭窄に進展することが多く,大腸では偏側性変形や嚢形成が多く,狭窄しても偏側性の要素が残り,胃ではほとんど変化を認めなかった.病理学的には,立ち枯れ壊死や粘膜出血,炎症細胞浸潤など共通所見を認め,部位にかかわらず虚血の確定診断に有用であった.