今月の主題 炎症性腸疾患における生検の役割
主題
潰瘍性大腸炎・Crohn病の鑑別診断における生検の役割―臨床の立場から
著者:
樋渡信夫1
織内竜生1
熊谷進司1
相原裕之1
高橋成一1
高木承1
岩渕正広1
根来健一1
尾花伸哉1
大楽紀子1
松本桂輔1
下瀬川徹1
豊田隆謙1
島田剛延2
増田高行3
所属機関:
1東北大学医学部第3内科
2宮城県対がん協会がん検診センター
3東北大学医療技術短期大学部衛生技術学部
ページ範囲:P.149 - P.158
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要旨 腸の炎症性疾患を疑った場合の生検について,臨床の立場から疾患ごとに注意点を述べた.基本的には潰瘍性大腸炎か否かを明らかにするために,病変部ばかりでなく一見正常に見える直腸や病変問からも生検を施行し,組織レベルでの病変の連続性,びまん性を判定できるようにする.主病変を欠くCrohn病疑診例では,粘膜下層を含む多数個の生検採取と連続切片作製により,肉芽腫を検索する必要がある.通常は潰瘍辺縁から生検するが,腸結核やアメーバ赤痢を疑い,菌や原虫を証明するためには潰瘍底から生検する.内視鏡を含めた精度の高い臨床診断と,それに応じた的確な生検部位,その部分の内視鏡所見を正確に病理医に伝えることが重要である.