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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻2号

2000年02月発行

文献概要

今月の主題 炎症性腸疾患における生検の役割 主題

潰瘍性大腸炎の癌・dysplasiaのサーベイランスにおける生検の役割―病理の立場から

著者: 西上隆之1 中正恵二1 山田盛男1 福井信2 山村誠2 里見匡迪2 柳秀憲3 荘司康嗣3 楠正人3 山村武平3 植松邦夫1

所属機関: 1兵庫医科大学第2病理 2兵庫医科大学第4内科 3兵庫医科大学第2外科

ページ範囲:P.181 - P.187

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要旨 病理医の立場から,UC(ulcerative colitis)の癌・dysplasiaのサーベイランスにおける役割を一言で言えば,癌,dysplasia,腺腫,再生異型を正確に診断することである.即ち,ポリペクトミーで治療可能な腺腫と大腸全摘出術を考慮すべきdysplasiaを的確に診断しなくてはいけない.次いでUC合併大腸癌には印環細胞癌や粘液癌が多いので,生検標本で少数の印環細胞や粘液を見逃さないことである.また,表層が鋸歯状腺腫のような組織像でも,進行癌のことがあるので肉眼像も大切である.更にUC合併PSC(primary sclerosing cholangitis:原発性硬化性胆管炎)には胆囊癌の合併もみられる.生検標本で再生異型かdysplasiaか鑑別困難な場合,p53染色が望ましく,また経験豊富な病理医にコンサルトするか,寛解期の再検が望ましい.UC合併大腸癌の約半数は直腸に発生するので,直腸で内視鏡を反転させ,注意深い観察と,多数の生検が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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