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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻2号

2000年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

0-Isep型を呈し著明なリンパ球浸潤を伴った食道低分化型扁平上皮癌の1例

著者: 千野修1 幕内博康1 島田英雄1 西隆之1 田仲曜1 大芝玄1 木勢佳史1 釼持孝弘1 姫野信治1 田島隆行1 山本壮一郎1 原正1 町村貴郎1 田島知郎1 鬼島宏2 池川清彦3

所属機関: 1東海大学医学部外科 2東海大学医学部病理 3済生会御所病院

ページ範囲:P.227 - P.232

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要旨 患者は67歳,男性.上部腹部不快感を主訴に近医を受診した.上部消化管内視鏡検査で胸部下部食道左後壁に病変を指摘されたが,繰り返す生検の結果では明らかな悪性所見が得られず,精査加療目的で当院に紹介入院となった.内視鏡検査では,病変の表面全体がほぼ正常食道上皮に被覆され粘膜下腫瘍様の形態を呈した.中心に軽度の陥凹と少量の白苔付着を伴う隆起性病変を認め,ヨード染色で濃染した.当院での生検組織の一部で扁平上皮癌を認め0-lsep型表在癌,深達度SMと診断した.本人の希望により,内視鏡的粘膜切除術を先行した.病理組織学的検索の結果,上皮下発育を示した低分化型扁平上皮癌で,間質に著明なリンパ球浸潤と濾胞形成を伴っており,深達度pT1b(sm2),infγ,ly0,V0と診断された.リンパ節転移の可能性を否定できず,右開胸開腹胸部食道切除術D3を追加施行した.その結果,リンパ節3,7番に癌の転移を認,pN2,pStageⅡの診断となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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