症例
十二指腸乳頭部癌のX線検査中に発見された十二指腸水平部微小Ⅱc型粘膜内癌の1例
著者:
関誠1
太田博俊1
上野雅資1
石原省1
重田英隆1
新井正美1
國土典宏1
高橋孝1
二宮栄司2
加来幸生3
馬場保昌3
有賀明子4
山田恵子4
柳澤昭夫5
山本智理子5
加藤洋5
近藤正樹6
所属機関:
1癌研究会付属病院外科
2霞が関岩井診療所
3癌研究会付属病院内科
4癌研究会付属病院放射線科
5癌研究会癌研究所病理部
6近藤クリニック
ページ範囲:P.239 - P.245
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要旨 患者は61歳,男性.近医での上部消化管内視鏡検査にて十二指腸乳頭部癌を発見され,当院上部消化管X線検査中,十二指腸水平部に陥凹性病変を指摘された.内視鏡検査で同部前壁に径約4mmのⅡc病変が確認され,生検結果は腺腫成分を伴う高分化型腺癌であった.乳頭部癌もあり,膵頭十二指腸切除が施行された.組織診断は術前生検と同様の粘膜内癌で,リンパ節転移は認められなかった.本例はわが国にて報告された陥凹型早期十二指腸癌15例目にあたり,腫瘍径が最小であった.本例の組織発生は腺腫の癌化と考えられ,過去14例の癌に腺腫成分を有するという記載がないことから,本例はごく初期の十二指腸癌の病理像を示す貴重な症例と考えられた.