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Coffee Break
内視鏡奮戦記(8)
著者: 武藤徹一郎1
所属機関: 1癌研究会附属病院
ページ範囲:P.196 - P.196
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St.Mark病院は1996年,有名なHarrow校のあるHarrow on the Hillの近く,ロンドン北部のNorthwick Parkへ移転した.旧病院では,臨床・研究に必要な最新の設備を整えることが困難であるため,St.Bartholomew病院と組んで必要な分を補いながら,長年にわたって移転を模索していた.移転の条件はSt.Mark病院の名を残して病棟を移すこと,病棟は大腸疾患を専門に独立して運用すること,臨床・研究に必要な設備が利用できること,人事・経営面の独立性を保てること,などであり,受ける病院からみれば丸呑みするのは困難な条件ばかりである.寄生木が親木より立派に繁ることを最初から求めているようなものであり,StBartholomew病院との協議は不調に終わった.歴史的に有名なこの病院の一部に,St.Mark病院の名が冠せられた病棟ができることに反対があったことは,十分に理解できる.Northwick Park病院がこの条件を呑んだのは,十分なスペースがあったが経営状況が思わしくなかったなど,いろいろな理由があろうが,とにかくSt.Mark病院はNorthwick Park病院の翼を占拠して,立派に再生できたのである.移転直後から患者数は前以上に増加し,・篤志家の寄付のお蔭で眺めの良い病院の最上階に,立派な個室がずらりと並んでいる.
この移転にあたってはMr.James Thomsonの貢献が大変大きかった.彼は筆者がSt.Mark病院にいたころにシニア・レジデント(resident surgical officer:RSOという)の資格で病院で働いていた男であり,今年のSt.Mark's Association Day(AnnualMeeting)をもって退官した.これで昔からの知り合いは,Dr.Christopher Williamsを除いてすべて病院を去ったことになる.このAnnual Meetingには,associationmemberが集まって朝から病院スタッフによる研究報告会があり,その最後にSir Alan Parksの功績を記念して,Visiting ProfessorによるSir Alan ParksLectureがある.光栄なことに筆者が1999年のVisiting Professorに選ばれ,“Colorectal Carcinogenesis.Past,PresentandFuture”と題した講演を行った.“StudentとしてSt,Mark病院を訪れ,30年後にVisitingProfessorとして再訪できたのは無一Lの喜びであり,Mydreamhascometrue.”と結んだが,内容もユーモアもあって良かったと好評であった.夜にはSt.Mark's Association DinnerがRoyal College ofSurgeonsの大広間で開かれ,Mr.James Thomsonの退官に重なったこともあって350名もの出席者があった.食事の内容は例によって大したことはないのだが,現および前Archbishop(英国国教会大主教)が臨席されており,筆者の紹介の後に筆者夫婦に対する乾杯があり,それを受けて短いスピーチを求められた.Mr.President,Your Grace,My Lord,Membersofthe Association,Ladiesand Gentlemen...で始まるshortspeechはちょっとした経験であったが,1~2回は笑ってくれたので,まあまあの出来であったようだ.すべて終わったなという充足感で,その後のワインがうまかった.
St.Mark病院は1996年,有名なHarrow校のあるHarrow on the Hillの近く,ロンドン北部のNorthwick Parkへ移転した.旧病院では,臨床・研究に必要な最新の設備を整えることが困難であるため,St.Bartholomew病院と組んで必要な分を補いながら,長年にわたって移転を模索していた.移転の条件はSt.Mark病院の名を残して病棟を移すこと,病棟は大腸疾患を専門に独立して運用すること,臨床・研究に必要な設備が利用できること,人事・経営面の独立性を保てること,などであり,受ける病院からみれば丸呑みするのは困難な条件ばかりである.寄生木が親木より立派に繁ることを最初から求めているようなものであり,StBartholomew病院との協議は不調に終わった.歴史的に有名なこの病院の一部に,St.Mark病院の名が冠せられた病棟ができることに反対があったことは,十分に理解できる.Northwick Park病院がこの条件を呑んだのは,十分なスペースがあったが経営状況が思わしくなかったなど,いろいろな理由があろうが,とにかくSt.Mark病院はNorthwick Park病院の翼を占拠して,立派に再生できたのである.移転直後から患者数は前以上に増加し,・篤志家の寄付のお蔭で眺めの良い病院の最上階に,立派な個室がずらりと並んでいる.
この移転にあたってはMr.James Thomsonの貢献が大変大きかった.彼は筆者がSt.Mark病院にいたころにシニア・レジデント(resident surgical officer:RSOという)の資格で病院で働いていた男であり,今年のSt.Mark's Association Day(AnnualMeeting)をもって退官した.これで昔からの知り合いは,Dr.Christopher Williamsを除いてすべて病院を去ったことになる.このAnnual Meetingには,associationmemberが集まって朝から病院スタッフによる研究報告会があり,その最後にSir Alan Parksの功績を記念して,Visiting ProfessorによるSir Alan ParksLectureがある.光栄なことに筆者が1999年のVisiting Professorに選ばれ,“Colorectal Carcinogenesis.Past,PresentandFuture”と題した講演を行った.“StudentとしてSt,Mark病院を訪れ,30年後にVisitingProfessorとして再訪できたのは無一Lの喜びであり,Mydreamhascometrue.”と結んだが,内容もユーモアもあって良かったと好評であった.夜にはSt.Mark's Association DinnerがRoyal College ofSurgeonsの大広間で開かれ,Mr.James Thomsonの退官に重なったこともあって350名もの出席者があった.食事の内容は例によって大したことはないのだが,現および前Archbishop(英国国教会大主教)が臨席されており,筆者の紹介の後に筆者夫婦に対する乾杯があり,それを受けて短いスピーチを求められた.Mr.President,Your Grace,My Lord,Membersofthe Association,Ladiesand Gentlemen...で始まるshortspeechはちょっとした経験であったが,1~2回は笑ってくれたので,まあまあの出来であったようだ.すべて終わったなという充足感で,その後のワインがうまかった.
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