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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻3号

2000年02月発行

文献概要

特集 消化管ポリポーシス2000 各論

Peutz-Jeghers症候群

著者: 多田正大1 菅田信之2 清水誠治2

所属機関: 1多田消化器クリニック 2京都第一赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.342 - P.348

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要旨 Peutz-Jeghers症候群は口腔や唇,指趾に特有な色素沈着を伴い,消化管に多発性ポリープを有する優性遺伝の疾患であり,小児期に発症する.消化管ポリープの病理組織像は特徴的であり,粘膜筋板が樹枝状に延長し,正常腺管と同様の過形成な腺管が増生する.過誤腫として位置づける説と過形成性ポリープや再生性ポリープに類似する成り立ちであるとする説がある.ポリープは胃,小腸,大腸に発生するが,発生個数はたかだか数十個である,ポリープの大きさは数mmから腸重積の原因となるような5~6cmの大きいものまで様々である.形は有茎性から亜有茎性,無茎性まで様々な形態を呈するが,大きい病変は広基性となり,表面は分葉して粗大顆粒様を呈する.本症候群では高率に消化管癌,特に大腸癌の発生がみられる.また他臓器悪性腫瘍の合併頻度も高いので,その経過観察にあたって注意を要する.中小のポリープは内視鏡治療で十分に処置できるので,定期的な内視鏡検査を怠ってはならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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