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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻3号

2000年02月発行

文献概要

特集 消化管ポリポーシス2000 トピックス

家族性大腸腺腫症における遺伝子異常と形質発現

著者: 西庄勇12 三嶋秀行1 蓮池康徳1 藤谷和正1 沢村敏郎1 辛栄成1 武田裕1 辻仲利政1 吉川宣輝1

所属機関: 1国立大阪病院外科 2国立大阪病院臨床研究部

ページ範囲:P.378 - P.382

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要旨 家族性大腸腺腫症(FAP)の原因となるAPC遺伝子変異の95%は,ナンセンス変異か塩基の挿入や欠失によるフレームシフト変異である.およそ310kDの巨大なAPC蛋白は,細胞質中のβ-カテニンを分解し,その量を調節することで癌抑制遺伝子として機能している.β-カテニンは細胞膜のE-カドヘリンとの結合を介して細胞間の接着を調節する以外に,ある種のシグナル伝達系において,核内で転写因子であるLEF-1/TCFと結合し,特定の遺伝子の転写活性を充進させている.変異APC蛋白はβ-カテニン量を減少させる機能を失っており,β-カテニン量の増加による転写因子の活性化と転写の充進を惹起し,腫瘍化に関与しているものと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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