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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻4号

2000年03月発行

今月の主題 食道癌の発育進展―初期病巣から粘膜下層癌へ

主題

食道癌の組織構築と発育進展様式の関連―upward, downward, lateral growthを中心に

著者: 八尾隆史1 平川克哉2 大屋正文3 岩下明徳4 恒吉正澄1

所属機関: 1九州大学大学院医学系研究科形態機能病理 2九州大学大学院病体機能内科学 3松山赤十字病院病理 4福岡大学筑紫病院病理

ページ範囲:P.495 - P.502

文献概要

要旨 食道癌の組織構築の解析を行い発育進展様式を推察した.48症例(56病変)の深達度smまでの食道扁平上皮癌を対象とした.組織構築は増殖様式を基底層型と全層型に,癌の粘膜内成分の厚さを非腫瘍粘膜と比較して薄型,平坦型,肥厚型に分類し,癌の大きさや深達度などの臨床病理学的諸因子との相関を解析した.その結果,食道癌は発生のごく早期では平坦粘膜の基底層から始まり(IIb),次に基底層が希薄化し(IIc),次に全層を巻き込み増殖し癌成分の肥厚性発育をとり(IIcまたはIIa),大半は大きくなる過程で全層性増殖かつ肥厚性発育部位より浸潤を始める経路が主であると考えられた.それらが潰瘍化するとIII型あるいは2型へ進行し,上皮下浸潤により下から盛り上げるとI型となることが推測された.全層性増殖かつ肥厚性発育成分が浸潤性を獲得しないで拡がると表層拡大型へ進展することも示唆された.また,全層増殖する前に浸潤し粘膜下腫瘍様の発育をするものも低頻度ながら存在すると考えられるが,それらは基底細胞癌などの特殊な組織型のものであると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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