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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻4号

2000年03月発行

今月の主題 食道癌の発育進展―初期病巣から粘膜下層癌へ

主題研究

食道粘膜癌と粘膜下層癌―病態の相違からみて

著者: 塩崎均1 土岐祐一郎1 井上雅智1 矢野雅彦1 安田卓司1 藤原義之1 門田守人1

所属機関: 1大阪大学大学院病態制御外科

ページ範囲:P.557 - P.562

文献概要

要旨 食道癌は粘膜筋板を境にして粘膜癌(M癌)と粘膜下層癌(SM癌)に分類されるが,これら両者には非常に大きな生物学的相違がある.SM癌になるとリンパ節転移が一挙に40%と高率になり,予後もM癌に比較し有意に不良となる.この原因について,分子生物学的な観点から解析を試みた.食道の粘膜下層では脈管の発達が著しくなり,SM癌ではリンパ管や血管への侵襲が増加する.また,SM癌では細胞間接着分子(E型カドヘリン)の発現が減弱し癌細胞が容易に解離するようになり,cyclin D-1の遺伝子増幅例では血行性転移を高頻度に生じる.粘膜下層という環境因子が癌細胞の機能に何らかの変化を招来している可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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