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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻4号

2000年03月発行

文献概要

今月の主題 食道癌の発育進展―初期病巣から粘膜下層癌へ 主題症例

遡及的検討を含む5年6か月の内視鏡的経過観察で表在癌から進行癌に進展した食道扁平上皮癌の1例

著者: 高木靖寛12 松井敏幸1 八尾恒良1 岩下明徳3 松村順4

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器科 2新小倉病院内科 3福岡大学筑紫病院病理部 4樋口病院内科

ページ範囲:P.597 - P.600

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要旨 患者は64歳,男性.肝硬変で食道静脈瘤の検索中,1993年8月の内視鏡検査で上切歯列より30cmに0-IIa+IIc型食道扁平上皮癌を認めた.病変は陥凹内に凹凸粘膜,粗大顆粒を伴い深達度sm浅層と推測された.しかし患者は治療を拒否し,その後来院しなかった.2年9か月後,1996年5月のX線,内視鏡検査では長径9.5cmの3型進行癌に進展し,同年6月,全身状態悪化のため死亡した.診断以前の検査所見を遡及的に見直すと,推測ではあるが2年9か月,1990年11月の内視鏡像に0-IIc型のm癌を示唆するわずかな発赤陥凹が観察された.したがって,本症例は初回検査より2年9か月でm癌(0-IIc)からsm浅層癌(0-IIa+IIc)への進展が推測され,更に2年9か月でsm浅層癌(0-IIa+IIc)から進行癌(3型〉への進展を観察できた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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