今月の主題 腸管の血管性病変―限局性腫瘍状病変を中心に
主題症例
食道静脈瘤様の所見を呈した終末回腸動静脈奇形の1例
著者:
西村拓1
櫻井俊弘1
帆足俊男1
戸原恵二1
植木敏晴1
松井敏幸1
八尾恒良1
小野広幸2
尾石樹泰3
岩下明徳3
立石訓己4
二見喜太郎4
佐田耕一郎5
所属機関:
1福岡大学筑紫病院消化器科
2福岡大学筑紫病院放射線科
3福岡大学筑紫病院病理
4福岡大学筑紫病院外科
5米の山病院
ページ範囲:P.785 - P.791
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要旨 特異な形態を示した回腸動静脈奇形の1例を報告した.患者は54歳,女性.1997年,高度貧血の原因精査目的で当院に入院した.小腸X線検査では,終末回腸に約15cmにわたり縦長で軟らかい連珠状の隆起性病変を認めた.大腸内視鏡検査では隆起は正常粘膜に覆われ,やや青みがかった軟らかな病変で,血管性病変と診断した.上腸間膜動脈の血管造影では,回結腸動脈の拡張と,回腸末端を中心にnidusと思われる血管叢を認め,静脈相では早期静脈環流が出現していることより,上腸間膜動脈と上腸問膜静脈の動静脈奇形と診断した.高度の貧血を繰り返していたので,回盲部切除術施行.切除標本の病理組織学的検索にて,動静脈奇形と確診した.