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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻6号

2000年05月発行

文献概要

今月の主題 腸管の血管性病変―限局性腫瘍状病変を中心に 主題症例

エピネフリン撒布により出血部位が確認できた大腸angiodysplasiaの1例

著者: 中村哲也1 本迫洋一郎2 味元秀樹3 江尻一成4 神村和仁5 江尻通麿6

所属機関: 1国立神戸病院研究検査科 2六甲アイランド病院内科 3六甲病院内科 4江尻病院内科 5江尻病院外科 6城陽江尻病院内科

ページ範囲:P.803 - P.807

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要旨 患者は65歳,女性.1990年2月末,新鮮血を伴う暗赤色便を認め,精査を受けたが出血部位は確認できなかった.その後も月に1~2回の割合で同様の下血が続いたが原因不明であった.1991年3月に施行した腹部血管造影の結果,右結腸動脈末梢に血管拡張像がみられ,内視鏡検査では長径8mmの淡い斑状の発赤が認められた.エピネフリン加生食を内視鏡下に撒布したところ,中心部より出血を認め,この部位からの出血であると考えられた.診断治療の目的でホットバイオイプシーを施行し,angiodysplasiaと判明した.翌日大量の下血を来し,内視鏡的に止血困難であったため,上行結腸部分切除術を施行した.その後8年以上,下血は認めていない.エピネフリンは本来局所止血に用いられる,angiodysplasiaの場合には逆に出血を誘発するものと考えられ,出血部位の確認に有用であると考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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