今月の主題 腸管の血管性病変―限局性腫瘍状病変を中心に
主題症例
直腸びまん性血管腫の1例
著者:
井上善之1
高野眞寿1
鎌田晶義1
辻直樹1
合田峰千1
中村英明1
目黒高志1
堀田彰一1
福田守道1
仙丸直人2
宮坂祐司2
藤田美芳2
森田高行2
三谷郁生3
宮坂史路3
長嶋和郎4
所属機関:
1北海道消化器科病院内科
2北海道消化器科病院外科
3新道栄病院
4北海道大学医学部分子細胞病理学
ページ範囲:P.823 - P.829
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要旨 直腸のびまん性血管腫はまれな疾患で,画像診断上,まだ十分に検討されているとは言い難い.今回,われわれの経験した症例は66歳,女性,主訴は小学生時よりの下血.検査所見では,注腸X線所見:直腸の管腔の狭小化と周囲の石灰化,内視鏡所見:怒張した暗赤色の血管,透明感のある扁平隆起や暗褐色の扁平隆起,怒張した血管を伴う灰白色の粘膜下腫瘍様隆起,EUS所見:粘膜下層および固有筋層外の管腔構造と石灰化の描出,CT所見:直腸壁の肥厚と壁内の石灰化,MRI所見:T2強調画像における直腸壁の著明なhigh intensity等の所見を呈していた.手術により直腸びまん性血管腫と確定診断され,画像診断上は典型的な症例と考えられた.