今月の主題 胃の“pre-linitis plastica”型癌
主題
pre-linitis plastica型胃癌の形態的特徴―X線の立場から
著者:
吉田諭史1
馬場保昌12
牟田仁彦2
坂口康一2
清水知己2
保坂圭1
江頭秀人1
太田博俊3
石原省3
加藤洋4
柳澤昭夫4
所属機関:
1癌研究会付属病院内科
2癌研究会付属病院検診センター
3癌研究会付属病院外科
4癌研究会付属病院研究所病理部
ページ範囲:P.885 - P.896
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要旨 予後不良な胃癌の1つであるlinitis plastica(LP)型癌の早期発見を目的に,X線診断の立場から検討した.胃上部における2cm以下の未分化型早期胃癌130病変のうち55病変(42.3%)がsm癌であった.130病変中13病変(10%)が中村の定義するpre-linitis plastica型癌に相当した.臨床的に発見されたprelinitis plastica型癌は12病変で,このうちひだ集中が発見の契機となった例は9病変(75%)であった.12病変のX線および肉眼所見の特徴は,陥凹境界明瞭でひだ中断が認められ,陥凹面の顆粒状変化に乏しいものが10病変(83.3%)と多かった. pre-linitis plastica型癌に限らず,胃底腺粘膜領域のm癌を含めた未分化型のⅡc病変を発見することがLP型癌の減少につながると思われた.