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文献詳細

雑誌文献

胃と腸35巻7号

2000年06月発行

今月の主題 胃の“pre-linitis plastica”型癌

主題

“pre-linitis”状態における癌細胞の特性―遺伝子変異の立場から

著者: 井藤久雄1 安井弥2 吉田和弘3

所属機関: 1鳥取大学医学部病理学第1講座 2広島大学医学部第1病理 3広島大学原爆放射能医学研究所腫瘍外科

ページ範囲:P.937 - P.943

文献概要

要旨 胃癌では様々な遺伝子変異が示されており,それは遺伝子変異(genetic;ジェネティック)と後成的異常(epigenetic;エピジェネティック)に分類される.前者には遺伝子増幅やp53遺伝子を代表とする抑制遺伝子の欠失・変異などがあり,後者ではDNAメチル化とヒストン・アセチル化あるいは各種増殖因子の過剰発現などが挙げられる.スキルス胃癌ではreplication errorの頻度が高く,増殖因子受容体をコードするK-samおよびc-met遺伝子増幅が特徴的である.多種多様な増殖因子/サイトカインを介したパラクリン/オートクリン・ネットワークが胃癌細胞と間質細胞間に形成され,特異な間質形成に関与している.加えて,カドヘリン/カテニン系の発現低下ないし欠失はHGF/met系との相互作用により癌細胞の浸潤性増殖を可能としている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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